フリーレントのデメリットについて
賃貸物件のフリーレント契約は、1カ月~物件によっては数カ月もの家賃の無料期間があるので、大変お得です。しかし、一方でデメリットもありますので、注意が必要です。
「ただより高いものはない。」といいますが、最初は得だと思っていたのに、実は大損したなんてことが無いようにしっかり、このデメリットを解説いたします。
このデメリットがあるからフリーレントがダメなのではなく、知らないことで、損することがダメなので、知っていれば大丈夫です!ご安心くださいね!
短期解約のトラブル
フリーレント契約は文字通り、一定期間の家賃が無料です。一般的には一ヶ月間の家賃が無料のケースが多いのですが、驚くことに、物件によっては、二ヶ月から三か月分の家賃が無料という破格の契約条件もあります。
さて、このフリーレントのデメリットとなりえるのが、「短期解約条項」です。短期解約条項とは、例えば、2年間の賃貸借契で、『○年未満の解約退去の場合は、賃借人(借主)は「短期解約違約金」を○○円支払うものとする。』といった一定期間内で解約した場合には、違約金を支払うといった条項です。
この条項は、冷静に考えると極めて当たり前なのです。なぜなら、短期間だけ住んで解約退去したら、大家さんは大赤字になるからです。
3カ月フリーレントの賃貸借契約契約で、わずか3カ月間住んで解約退去したとしたら???その間は家賃は入りませんし、退去後のクリーニング費用がかかるからです。
「なるほど、これなら貸主、借主の両方にとってある意味対等な条件じゃない?どうしてこれが、借主のデメリットになるの?」
はい、いい質問です。
なぜデメリットになるかというと、理由はシンプルで、いざ退去する時に短期解約違約金のことを忘れちゃっているからです。
短期解約金として、支払うべきお金は…。
「短期解約違約金はフリーレント期間分の家賃を払ってね」という規定が多いです。1カ月無料であれば、その分を、2ヶ月無料ならその分をといった具合です。逆にいうと、違約金というより、「無料にしたけど、こんない早く出るなら無料にしない!」といういい方の方がわかりやすいですね。
繰り返し二なりますが、揉める原因は最初は聞いているつもりでも、いざ退去しようとするときは忘れちゃっている…(^^;;
「家賃払ってないのに忘れるって!?」意外と思うでしょうが、今は家賃はほとんどが自動引き落としです。
払ってる感覚が無いので、家賃の無料期間のことなど忘れてしまう人が多いですね。
短期解約でよりぐちゃぐちゃに揉めるケース
さて、フリーレント契約で、短期解約する場合に、もっとぐちゃぐちゃに揉めるケースがあります。
一般的には短期解約違約金は契約条件に書いてあるのですが、そういったことが一切書いていないケースがあります。そして、しっかりとした取り決めがなく、当然ながら、契約書に記載がないので短期解約することになって、それを知った大家さんが騒ぎ出す(怒り出す)ケースがあるのです。
大家さんは実質的に賃貸の実務は不動産屋と比較してノウハウを持っていません。結構、任せちゃってますから…。
不動産屋の営業マンがフリーレント交渉をする際に、短期間で解約になった場合のことなど、細かいことまで打合せしていないとこういうケースがあります。
それは、大家さんの側から見たら、怒るのも当然です。タダで住まわせた挙句、家賃が入ってくると思ったとたん、退去され、原状回復のリフォーム(クリーニング)で、出費が増えるのですから。
で、問題はここからなのですが、大家さんは、不動産屋に強烈に苦情を言います。今後の取引のこともあるので、不動産屋は今度は大家さんの主張に折れます。そして…、
賃借人(借主・入居者)に対して、「あまりに入居期間が短いので、フリーレント期間の分の家賃は支払ってください!」といってきます。
契約書に書いていなければ、支払う必要はありませんが、何となく申し訳ない気がして、泣く泣く支払う人もいるようです。契約書に書いていなければ、支払う支払わないは交渉次第です。
情にほだされるか、圧力をかけられるか、どちらかで、支払ってしまうケースも少なくないようです。
「支払わない!」の一点張りでOKですが、精神的にもつかれますので、こういったトラブルはフリーレントのデメリットのひとつといえるでしょう。
共益費・管理費はタダではない
フリーレントといえば、「○月分の家賃が無料」が基本です。つまり、家賃のみが無料で、共益費(管理費)は、ただではありません。
実際の家賃の支払いスタートの時は、引落になりますが、それまでは、共益費の実費を銀行振り込みする必要があります。
でも、これを忘れてしまうのが人の性(さが)です。
そして、忘れたなら自分のせいですが…。
不動産の営業マンが、説明不足だったり、説明すること自体を忘れていたり、そのこと自体の認識が無かったりします。
人間は都合のいいことは認識しますが、そうでないことは(共益費は支払う必要があるということ)は、コロッと忘れてしまいます。ましてや、説明を受けてないとなると、支払うわけがありませんよね。
忘れたころに、不動産屋の管理部当たりの人から、「入金が確認取れませんが…?」と連絡があり、「はっ?」という展開があるわけです。
共益費・家賃はタダにならないケースが多いです。このことは、とても認識不足になりやすいということが、フリーレントのデメリットといえます。
2年後の契約満了時期
これは、学生さんに多いトラブルのパターンです。契約期間の満了時期が、次の引越しの時期と合わないケースがあり、わずか一ヶ月程度のために、更新料を支払うはめになります。損失感は半端ないです。
詳しく説明します。
私立大学ですと2月早々に入学が決まります。一人暮らしのために、部屋を探すことになりますが、三月は、賃貸物件はトップシーズンでいい物件がなかなか見つからないので、早めに物件を見に行きます。
そして、大学の近くに、立地、家賃も気に入った部屋を契約ということになります。大学は4月からで、一人暮らしをスタートするのは三月末頃なので。。。
親切な不動産屋さんは、『それでは、三月一日から契約して、最初の月は「フリーレント」で、大家さんに交渉しますよ!』と言ってくれて。。。という流れです。
2年、ないしは4年後の契約満了の時期は、2月末日となります。
そうすると、就職が決まっていて、勤務地もまだわからないケースがほとんどです。そうすると、前述しましたが、わずか一ヶ月のために、更新料を余計に支払うことになります。
「更新料」というお金だけでも、無駄な出費と思えるのに、更新してまた二年間住むとなれば、「仕方ない」と自分に言い聞かせられますが一ヶ月間のための更新料は、喪失感がとても大きいのです。
人によっては、不動産会社にクレームを言ったりしますが、契約なので、仕方ありません。
不動産屋の営業マンも悪意がある訳ではなく、わかってないで、契約していることがほとんどです。
決まらない物件かも?
そもそもフリーレント(家賃無料)にしてまで、入居者を決めたいというのは、決まらない物件だからという理由が考えられます。
決まらない理由は、周辺物件と比較して「家賃が高い!」からです。最初の月の家賃(又はその後の数か月)が、無料でお得だなと思っても、そもそも家賃が高かったらいやですよね!
具体的に例を説明します。
家賃5万円
フリーレント1カ月
2年契約で総支払家賃⇒5万円×24-5万円=1,150,000円
上記の物件が、5万円では実は高くて、4.7万円が適正である場合
ということで、家賃を適正価格にしてもらった方が、2年間の総支払賃料は、なんと2.2万円も安く済むという結果となりました。
気にしなければ済む話ではありますが、後からこういうことを知ってしまうと、損をした感覚がとても大きいです。
このことも、フリーレントのデメリットといえますね。
まとめ
賃貸物件のフリーレントは目先のお得感で飛びつかないようにしましょう。
先々のことを考えて、上記のポイントをシミュレーションして、あなたにとって最も良い部屋を検討しましょう。
それでは、お得な物件が見つかりますように!